2011/05/23

頭ん中(加筆・修正)



アナタの頭の中がどうなっているのか実に興味があります、と言われることがありました。

それについて書くことをしようと、ワタシは考えます。
ワタシの頭と思われるもので。

思考中。

私の頭を説明するには、まず公園の話からしなければなりません。
その公園は近所にあり、私は口の中に似ているので、口の中公園つまり「口園」と読んでおりますが、他の人は呼んでいません。
正確には、他の人と対応なコミュニケーションがとれずにおりますので、わかりかねます。

口園の真ん中にはベロンと舌のような滑り台がのけぞっており、その両隣には奥歯のようなベンチがあって、
口園の奥の方にはブランコがブラブラして、それはまるで前歯のようなのです。
それでもって、私は入り口のところに立っているのだから、下あごの前歯です。
ある日、奥歯んところのベンチに座っているOLのような老婆のような、主婦のような、どこにでもいそうな女性からこっちに来なさい、こっちに来なさい、こっちに来い、と言うのですから、そっちにいってみるとその女性が奥歯をパンパンと叩きます。私は横に座りながら、この人は奥歯に座って何をしているのだろうとぼんやり思っていると、女性が舌のようなすべり台を指差してあの下がどうなっているのかと聞くので、知らないと答えると、私も知らないと言って笑いました。カカカ!
何だか気味が悪くなり、ワタシは奥歯のようなベンチから立ち上がろうと思いましたが、
女性がワタシの腕を掴んでおりましたし、
ワタシは声が出ないのでした。
ッァ!が精一杯なのです。
笑い終わるとアナタの頭の中がどうなっているのか実に興味があります、
と言われましたので、
嗚呼・・そうですね。科学でも解けてないない部分もありますしね、などと適当に答えていると、
彼女は、ワタシがワタシと認識しながらそれを証明するのはワタシしかおらず、ワタシ自身がそれをワタシに対して客観的に証明するのは、それを確認すんには、目ん玉を奥の方に押し込んで頭蓋骨の中から脳みそを見てみるか、目玉に延長ケーブルをくっつけて顔の外へ放り出して自分を見るとかしなければならないけども、それでも完全ではないわね、と言って笑いました。
カカカ!
私はなんだか気分が高揚してきました。
アナタはいつもそこにいるのね、そうしていつもそこにいるのね、と言うものですから、
えぇ、まぁ、そうですね、と曖昧に答えて、それにしても、今日は暖かい日でありますね、と答えました。
すると、その女性はカカカ!と笑って首が取れるんじゃないかと思うぐらいにうなずき始めたので、私は怖くなって首を支えようとしました。
すると、女性は、アナタは私を殺そうとしたのでしょう、そうでしょう、私には私がわかります、私をバカにしているのでしょう、私の場所を奪おうとしているのでしょう、ワタシはワタシはワタシを殺そうとして、ワタシは!アナタはワタシを歯だと!と騒ぎたてるので、私は怖くなってその場から逃げようとしましたが自分がどうしたらいいのかわからなくなって、奥歯に挟まれたままになってしまいました。
その横で、彼女の顔は見る見るうちに真っ赤になって、獅子舞のようにな顔になりました。あまりにそれが獅子舞のようでしたので、今度は私がそれを見てカカカ!と笑ってしまいました。
するとどうでしょう。
獅子舞のような顔をした女性が口をパクパクさせはじめました。

気がつくと、私の頭は獅子舞のような顔をしたその女性の口の中に存在していて、その意識はワタシのままでありますが、それが女性の意識、つまり脳としての認識であるのか、という疑問はぬぐえておりません。
そうして、ワタシの認識しているものがワタシの感覚であるという前提であるならば、
ワタシは彼女の目から外の世界を確認することができるようになりました。
その世界は、ワタシが見ていた世界と変わらず口園の中には滑り台やブランコがあり、たまに近所の子供達が遊びにきたり、道路には車が走り自転車が走り、人は歩いています。

後日談。

その舌のような滑り台の下のところに穴のようなものがポッカリとあきまして、そこを眺めていたら、眺めてるといっても彼女の視線でもあるのですが、ワタシらしい人が出てきて、公園の入り口から出ていきました。
今、こうしているのは、果たして私であるか僕であるか女性であるのかよくわかりません。
それでも、ワタシと認識しているワタシとワタシの脳と頭ん中は元気です。
元気でやってます。

「頭ん中」を加筆・修正しました。



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